目黒区美術館「没後50年 藤田嗣治 本のしごと」

 

こんにちは。

ブログをお読みいただきありがとうございます。

 

先週までの大型連休は全国的にお天気に恵まれ、外出日和が続きましたね。

今回はおすすめの美術館企画展をご紹介いたしましょう。

 

目黒区美術館で開催中の「没後50年 藤田嗣治 本のしごと」はとても充実した内容です。

藤田が関わった書籍とグラフィックワークが展観されていて、その幅広さ、奥深さを体感することが出来ました。

 

弊社でも取り扱っております挿画本(以前のブログもぜひお読みください)

『夜と猫』

『面影との闘い』

『小さな職人たち』『四十雀』

『海龍』

の他にも見どころが沢山!

 

 

『日本昔噺 LEGENDES  JAPONAISES』は藤田の水彩画がポショワールで再現されています。

「浦島太郎」「道成寺」「姥捨て山」「天女の羽衣」など日本古来の伝説がフランス語で収録され、1923年にパリで刊行されました。挿画の総数は66点。

精緻な線描とやわらかい色調の美しさは言うまでもなく、飾り文字や表紙デザインも秀逸で、全体のクオリティの高さに驚嘆しました。

フランスでも当時大変な人気を博したそうです。

 

 

 彫刻家カミーユを姉に持つ劇作家で詩人のポール・クローデル(1868-1955)の著作も藤田によって彩られました。

 『朝日の中の黒い鳥  L'OISEAU NOIR DANS LE SOLEIL LEVENT』は駐日フランス大使を務めていた1927年に出版された日本文化論。

 

姉カミーユがジャポニスムの影響を受けていたことから、日本に対して親しい感情を抱いていたポール。

文楽、歌舞伎、能などの古典芸能を鋭い洞察力をもって鑑賞し、言葉のプロフェッショナルならではの美しい文章を書き残しました。

「劇、それは何事かの到来であり、能、それは何者かの到来である」という一節は、能の本質を端的にとらえた名文です。

 

12点の藤田の挿画は、『日本昔噺』よりも少し粗い筆触で、生き生きと当時の我が国の様子を伝えています。

「メッサリーナ」 『猫の本』より  
「メッサリーナ」 『猫の本』より  

 

さらに、藤田自身が書き綴った随筆本の装幀や『婦人之友』『ホーム・ライフ』を筆頭とした日本の雑誌の表紙絵などからも、本の仕事に対する藤田の真摯な情熱が伝わってきました。

 

またとりわけ印象的だったのが、個人的な書簡。

竹馬の友、澤氏に宛てた葉書の文字と絵が織り成す世界に思わず見入ってしまいますし、ニューヨーク滞在時のシャーマン氏に送った手紙に描かれたユーモラスなイラスト群の愛らしさに胸が熱くなりました!

 

 

展示の最後には猫のコーナーが。『猫の本』『夜と猫』、あるいは墨絵の中の猫たちが思い思いにくつろぐ様子に気持ちが和みます

 

私が藤田嗣治という画家の名前を知ったのは、初めて訪れたパリの市立近代美術館に堂々と飾られていた油彩「寝室の裸婦キキ」の異様なまでの存在感に圧倒されたときでした。

 

そうした大作に勝るとも劣らない、小さくても輝く珠玉の作品たちに出会える本展覧会は6月10日までです。

 

(6月23日~10月30日 静岡 ベルナール・ビュッフェ美術館

 12月15日~2019年2月24日 八王子 東京富士美術館 に巡回予定)

また、同じ目黒駅を挟んで反対側にあります東京都庭園美術館では「アール・デコ・リヴァイヴァル!」と題し、旧朝香宮邸の内観見学(本館)と、仏文学者の鹿島茂氏所蔵本「フランス絵本の世界」(新館)のふたつを愉しめます。

 

展示を最小限に抑えた本館では、各室の内装の素晴らしさに溜息の連続。

ラリックのガラスレリーフ扉やシャンデリアにはあらためて新鮮な驚きを感じ、アンリ・ラパンの手による壁画の謙遜的な優美さに見惚れずにはいられません。

普段は非公開のウインターガーデン(温室)も見学可能。

 

19世紀前半の印刷物から展示が始まるフランス絵本のコレクションは、まさに壮観。

挿画本の歴史を知る上でも稀少な古書から『ぞうのババール』まで、濃密な内容ではあるものの

可愛らしい挿絵のひとつひとつに心が癒されます。

見終えると、何か自分にも一冊欲しくなり古書店巡りをしたくなってしまうかも知れません。

 

鑑賞後はのんびり庭園を散策するのに良い季節ですね。

 

ふたつの美術館のはしごをなさる方も多いようです。

ぜひ今度の休日にお出掛けになってみてください。

(K・T)

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