マイセン「りんご狩り」のご紹介

生産国:ドイツ

制作年:1924年以前

底部に窯印

 

こんにちは。

ブログをお読みいただきありがとうございます。

10月も中旬になりぐっと秋の気配が深まってきましたね。

 

秋といえば野菜や果物の収穫を祝う特別な季節。

食べごろを迎えた栗や松茸、梨、ぶどうなど秋の産物を直接味わえる"味覚狩り"も、家族で楽しめる季節の定番行楽スポットです。

 

今年もまた新しい実をもたらしてくれた自然の恵みに感謝し、日々の糧となる食物をいただくという人間の姿は今も昔も変わりません。

本日ご紹介する作品は、果実狩りのウキウキした高揚感とともに、そんな偉大な自然への賛美をも感じる一点。

ヨーロッパを代表するドイツの最高級陶磁器窯、マイセンによる作品です。

 

ヨーロッパを横断するエルベ川沿い、

現ドイツに位置するマイセン地方やドレスデンの一帯は、

古くから主要な交易地として繁栄してきた場所です。

 

ところで、「ドイツ」という現在の一国家。

マイセンやドレスデンを含むこの地域は1000年以上にわたり、神聖ローマ帝国という一国内にあったものの、内情は多くの諸公国や地方伯領、小王国などが乱立する分裂国家でした。

エルベ川とドレスデン
エルベ川とドレスデン

 

そのため、それぞれの地方や都市は、時代により異なる選帝侯(神聖ローマ皇帝を選出する権利を持つ有力7諸侯)や王国に支配されてきました。

17世紀末より、ドレスデン一帯の施政者であったザクセン選帝侯アウグスト2世(1670-1733)は、芸術と建築を庇護し、ドレスデンを今も栄える文化的な中心地に変えた功績で知られる君主です。

彼を虜にした芸術品の一つが、東洋から流入し始めていた美しい白色の磁器。

しかし、当時のヨーロッパでは「白い」磁器を生み出す技術が分かっていませんでした。そこで、アウグスト2世は錬金術師に命じてこれを解明させ、自国での磁器生産に乗り出します。

 

ザクセン選帝侯アウグスト2世
ザクセン選帝侯アウグスト2世

しかし彼は、この白磁の生産技術が他国に漏れてしまうことを恐れ、

ドレスデンからエルベ川を20kmほど下ったマイセンという街にある城塞に磁器工場を設立。

1710年に正式に事業を開始し、ここにマイセン窯が誕生しました。

 

その後、原料の生産地や調合法は限られた職人たちだけに受け継がれ、徹底した秘密厳守に基づく品質管理を心がけたことや、

宮廷などに仕えた最高級の彫刻家らにデザインを一任させたことなどが功を奏し、次第にヨーロッパ随一の陶磁器窯へと成長していきました。

 

本日ご紹介する「りんご狩り」は、そうした気鋭の職人集団であったマイセン工房で、

長年に渡り造形デザインを指揮した二人の彫刻家による作品。

彼らの簡単な経歴をご紹介しましょう。

 

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(Johann Joachim Kaendler 1706-1775)

ドイツ・フィッシュバッハ出身。神父の父を持ち、幼少から伝統的な教育を受けて育つ。

ドレスデンの彫刻家トーメの工房で彫刻家としての修業を積み、やがて頭角を現す。

アウグスト2世の命により25歳で宮廷彫刻家となり、マイセンの型制作に携わる。

1733年には造形主任、1749年には工房長となる。

エレガントなしつらえで気品あふれるディナーウェアやテーブルウェアを次々と発表。

40年以上も在籍し、マイセンを名高いブランドへと導いた立役者の一人と考えられている。

 

フリードリッヒ・エリアス・メイヤー(Friedrich Elias Meyer 1723-1785)

父親も彫刻家であったメイヤーは、ゴータの彫刻家のもとに14歳で弟子入り。

若干18歳で宮廷彫刻家としてシュヴァルツブルク家のハインリヒ35世や、

のちにザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ公国のエルンスト・アウグスト1世に仕える。

1748年、王の逝去に伴い新たに職を求めて移ったマイセンで、年長のケンドラーと出会う。

1761年にベルリンに移動し、弟が勤めていた陶磁器窯KPMの事業に携わる。

のちにプロイセン王立芸術学校で教鞭をとるなど晩年まで精力的に活動した。

 

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー
ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー
フリードリッヒ・エリアス・メイヤー
フリードリッヒ・エリアス・メイヤー

 

 

本作は、このケンドラーとメイヤーの共作により1753年頃に原型が制作された作品です。

 

作品上部には、不安定に掛けられた木のはしごをつたって、

瑞々しく熟れたりんごに手を伸ばす若い男性。

 

 


そのもとでは若い女性がエプロンを大きく広げ、

男性がりんごを落とすのを注意深く待っています。

隣にいるのは彼らの子どもたちでしょうか。

帽子を使って一生懸命にお手伝いするお兄ちゃんと・・・

弟はどうやらつまみ食い専門のようですね。

 

ほほえましいりんご狩りの一瞬を、マイセンの最高級職人たちによる、

柔らかで美しい人物の造形や繊細な絵付けで活き活きと伝えています。


 

 

この作品は、現在軽井沢店にてご覧いただけます。

りんごの名産地として知られる軽井沢ですが、今年の秋はちょっと変わった「りんご狩り」を、当店で味わわれてみてはいかがですか?

 

当店の他陶磁器はこちらへ

 

アトリエ・ブランカ軽井沢
アトリエ・ブランカ軽井沢

(R・K)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

アトリエ・ブランカでは、軽井沢・吉祥寺の直営ギャラリーにて、

アール・ヌーヴォーやアール・デコのガラス工芸をはじめ、 絵画や版画、挿画本、シルバーウェア、

アンティークジュエリー、彫刻・ブロンズ、アンティークカードなど

美術館さながらの見ごたえある作品を販売しております。 

 

アトリエ・ブランカHP

http://www.atelier-blanca.com/


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

←次の記事

前の記事→